不動産を売却する時の諸費用について

不動産の売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。不動産の売却には、手数料や税金などもろもろの費用が発生し、それらを差し引きして残ったお金が売主様の手元に残ります。

不動産売却をする際、どのような諸費用が発生するのかを事前に把握したうえで販売価格を決定することが大事になります。

不動産売却にかかる主な費用は以下の4つです。

①仲介手数料

②税金

③売渡費用等(司法書士費用)

④その他


①仲介手数料

仲介手数料は、売買契約や取引が成立した後、不動産会社に支払うお金のことです。不動産売却時にかかる最も高額な諸費用のひとつです。通常、不動産売却をする際、売主様は不動産会社と媒介契約を締結して買い手を探します。不動産を売却するための営業活動に対して、売主様は不動産会社に報酬を支払う必要が生じます。その報酬が仲介手数料です。

仲介手数料のポイントは成功報酬であること。不動産の売買契約が成立した時点で、報酬を支払う義務が発生します。逆に、万が一売買契約が成立しなかった場合は、仲介手数料を支払う必要はありません。

では、不動産会社に対して支払う仲介手数料は具体的にいくらになるのでしょう。金額は以下の通りです。

〇販売価格が200万円以下の場合
仲介手数料=販売価格×5%+消費税(※参照:18万円+消費税)

〇販売価格が200万円超~400万円以下の場合
仲介手数料=販売価格×4%+2万円+消費税(※参照:18万円+消費税)

※空家等の売買又は交換の媒介における特例
(国土交通省告示第1155号 平成30年1月1日施行)

 低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)が400万円以下の金額の宅地又は建物をいう。以下「空家等」という。)の売買又は交換の媒介であって、通常の売買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについては、宅地建物取引業者が空家等の売買又は交換の媒介に関して依頼者(空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に限る。)から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、第2の規定にかかわらず、第2の計算方法により算出した金額と当該現地調査等に要する費用に相当する額を合計した金額以内とする。この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は18万円の1.08倍に相当する金額を超えてはならない。

〇販売価格が400万円を超える場合
仲介手数料=販売価格×3%+6万円+消費税

②税金

・譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産売却時に発生する代表的な税金のひとつです。譲渡所得とは不動産の売却によって得たお金のこと。このお金にかかる税金が譲渡所得税です。

不動産の売却で利益が発生した場合、所得税と住民税が課せられます。ただし、不動産購入費や仲介手数料、印紙税、登記費用、リフォーム費用などの費用を引いてマイナスになった場合、所得税・住民税ともにかかりません。また、利益が出た場合も優遇税制などで無税になる場合があります。

・印紙税

印紙税とは、不動産の売買契約書に貼る収入印紙のこと。郵便局などで購入した収入印紙を売買契約書に貼り、印鑑で割印することによって、税を納めたことになります。

不動産の販売価格によって印紙税の金額は変わります。印紙税の金額(2022年3月31日までの軽減特例適用)は以下の通りです。

1万円未満 非課税

1万円以上50万円以下 200円

50万円を超え100万円以下 500円

100万円を超え500万円以下 1,000円

500万円を超え1000万円以下 5,000円

1000万円を超え5000万円以下 10,000円

5000万円を超え1億円以下 30,000円

1億円を超え5億円以下 60,000円

③売渡費用等(司法書士費用)

〇抵当権抹消登記費用

抵当権とは、ローンなど借入れの返済が滞ったとき、銀行が不動産を差し押さえることができる権利のこと。不動産を担保にお金を借りた場合、抵当権がつきます。不動産を売却する時は借りているお金を返済し、抵当権を抹消する必要があります。この手続きにかかるお金が抵当権抹消登記費用です。

このほか、不動産の所有権移転に伴う住所変更登記など、権利の種類によって費用や手続きも異なってきます。

④その他

不動産の売却に注力するあまり、忘れてしまいがちなのが引越し費用です。引越しにもお金がかかりますから、事前に調べておくことをおすすめします。新居へ入居する前に一度仮住まいに移り住む場合、引越しが2回必要ですから費用も2回分になります。

また、ほかにも、売却する不動産をきれいにするための「ハウスクリーニング費」や「リフォーム費」、あるいは「建物解体費用」などが発生する場合もあります。
納得できる売却を実現するため、ご自身のケースをよく検討しながら、計画的に売却活動を進めましょう。