不動産業者に仲介を依頼して不動産を売る場合、市場にいる見込み客にアピールして興味を持ってもらう必要があり、実際に購入を決意してもらうまでにはそれなりの時間がかかります。
思うように販売活動が実を結ばないと焦りが生じるので、心理的にも負担に感じるかもしれません。
本記事では不動産が売れない時に試してみる解決策や注意点などを解説していますので、不動産売却の流れをぜひ参考になさってください。
【目次】
① 囲い込みをされてないかどうか確認する
② 実際の広告を確認する
③ 価格を見直す
④ 物件を再確認する
⑤ 安易な判断でのリフォームは避けること
⑥ 建物が古くても解体しない
⑦ 業者を変えるタイミングについて
① 囲い込みをされてないかどうか確認する
不動産業者は、売り手だけでなく買い手も自分たちで見つけることで両手仲介を目指すことが多いです。
両手仲介は手数料を二倍得ることができ、大きな利益になるからです。
両手仲介自体が悪いわけではありませんが、他社が見つけた見込み客を故意に寄せ付けない「囲い込み」行為は、売却成功までに不要な時間を要し、売れない原因となります。
専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を結んでいれば、不動産業者は必ずレインズという情報ネットワークに物件情報を載せなければいけない決まりになっていますが、囲い込みをするためにレインズに情報を載せない場合や、適当な情報で掲載している場合があります。
不動産業者は宅建業法にのっとり、売主に対してレインズに登録した物件の「登録証明書」を発行しなければならない決まりになっています。
業者には確認しにくいかもしれませんが、登録証明書の提示を求めるのも一つの方法です。
② 実際の広告を確認する
一般媒介契約以外では、不動産業者の担当者から業務状況の報告を定期的に受けるはずですから、どんな媒体にどのような広告を載せたのか聞き取り、本当に物件の販売広告がされているのか、自分の目で確認します。
例えば地域のフリーペーパーに情報を載せたと言われたら、そのフリーペーパーを実際に見て本当に載っているか確認します。
もし報告と相違していれば担当者に指摘しなければなりません。
同時に、やはり不動産業者の信頼性に疑問符が付くので、こちらも必要に応じて業者変更の検討が必要になるでしょう。
③ 価格を見直す
売り出し当初の価格設定は間違っていなかったとしても、長期間売れずにいた場合、周辺のライバル物件の価格動向に動きが生じ、自分の物件が価格面で見劣りし売れない原因になります。
ライバル物件の調査を行い、市場で自分の物件が価格面で見劣りしていないか確認してみましょう。
必ずしも価格だけでアピールする必要はありませんが、市場にいる顧客に目を留めてもらうには、やはり価格は重要なファクターです。
概ね3ヶ月~半年ほどしても売れない場合は、適宜物件価格の見直しを検討してみましょう。
④物件を再確認する
内覧の申し込みは割と多くあるのに、そこからの食いつきが弱いと感じる場合、物件本体になにか見劣りする点がないか再確認してみましょう。
自分で最低限のクリーニングをしていても、プロのクリーニングを入れていないと特に水回りが汚れて見えるので、顧客に良い印象を与えることが出来ず、売れない原因となってしまいます。
内覧者からのヒアリングをしても、気を使って内覧の印象を正直に答えてくれないことも多々あります。
湿気がこもりかび臭いにおいが出ていないか?部屋を明るく見せるための照明や採光に問題はないか?など、担当者と一緒に再確認し、売れない原因を取り除いていきましょう。
⑤ 安易な判断でのリフォームは避けること
もっと市場にアピールするためとリフォームをしてしまう人がいますが、これは売れない原因になる可能性があります。
ケースにもよりますが売主がプロ(宅建業者等)でない限り、先行リフォームは裏目に出ることが多いのでお勧めできません。
理由は大きく二つあります。
一つは、先行リフォームは顧客層に効率よくアピールできないことです。
次々現れる交渉相手の万人が好むようなリフォームは難しいので、先にリフォームしても目の前の交渉相手が好ましいと感じるかどうかは分からず、効率的、効果的にアピールすることができません。
二つ目は、リフォーム費用は結局売主負担になってしまうことがほとんどだからです。
周辺のライバル物件の圧力があるので、リフォームにかけた費用を販売価格に上乗せするのは難しいのが通常です。
リフォームについては、交渉に入る個別の相手と話し合うのが得策です。
リフォーム分の値下げを提案するなどすれば、相手も喜んでくれるでしょう。
⑥ 建物が古くても解体しない
あまりにも古い建物で利用価値が全くない場合、取り壊して更地として売った方が買い手が付きやすいことも確かにあります。
ただ、建物を取り壊してしまうのは不動産業者と相談して、よく検討してからにしましょう。
エリア的に土地に高い価値を見出すことができるケースでは、更地として売った方が良いこともありますが、通常は古い家屋でも一定の需要がありますから、最低でも3ヶ月程度は建物付きの土地として販売を頑張ってみましょう。
税金面では建物を壊してしまうと固定資産税が上がってしまうこともあるので、その意味でも痛手になります。
必要があれば買い手の方で建物の取り壊しを検討するでしょうし、交渉時に解体費用の折半などで相談を受けることもあります。
事前に売主負担で建物を解体してしまうのは色々と勿体ない要素が出てくるので、先行することは控えるのが無難です。
⑦ 業者を変えるタイミングについて
他社に重ねて依頼できる一般媒介契約を結んでいる場合は問題ありませんが、専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を結んでいる場合は、業者変更のタイミングに注意しましょう。
なぜなら、売れない原因が業者側にあるのか物件自体にあるのか判断が難しいからです。
しかしながら、明らかに業者側の怠慢から物件が売れない場合は、現在の仲介契約の期日満了をもって他社に移るようにしましょう。
契約は最大3ヶ月で、必要に応じて更新することになっていると思いますが、当初の契約期間満了をもって他社に移る場合リスクはありません。
もし、不動産業者側に明らかな契約違反が認められない状況で契約を中途解除してしまうと、それまで宣伝にかかった費用を請求されることがあります。
明かな契約違反があればそれを指摘して契約を解除することもできますが、その証明や立証などの実務を考えると手間が大きく大変です。
余計な問題を生じさせないためにも、できるだけ現在の仲介契約の満了まで待ち、穏便に他社への乗り換えを済ませられるようにしたいものです。