不動産売買仲介の体験談3

先日、当事務所に少し珍しいご相談をいただきました。和歌山市で戸建の不動産売却を検討されている方のお知り合いが訪ねて来られ、「実は売りたい戸建がある」とのこと。和歌山市内での不動産売却のご相談は日常的にいただきますが、今回のケースは非常に特殊でした。

 というのも、その売主様ご本人は当事務所に来られない状況とのこと。理由を伺うと「実は先月、罪を犯して県外の刑務所に勾留中なんです」とのこと。ご相談者様も「こういう状況でも不動産売却はできるのか?」と不安を抱えておられました。

 結論から言えば、和歌山市においても県外勾留中の方の不動産売却は可能です。ただし重要な条件があり、売主様が反社会的勢力でないこと。この点をクリアすれば、戸建や土地といった資産も問題なく売却手続きを進められます。今回は「反社ではない」とのご回答をいただけたため、売却活動を開始しました。罪の内容までは私の立場からは伺わず、あくまで不動産取引に必要な確認事項にとどめるようにしました。

 物件は和歌山市でも人気の高いエリアに位置する戸建で、販売開始と同時に多くの反響をいただきました。希少な立地ということもあり、「購入したい」という声は多数あったのですが、問題は売主様の状況。内見の際に「現在、勾留中である」という事実を正直にお伝えすると、購入希望者様は軒並み辞退されてしまいました。

 やはり不動産売却は物件条件だけではなく、背景事情も購入判断に大きな影響を与えるのだと改めて感じました。和歌山市内でも「再建築不可物件」や「相続による共有不動産の売却」など、難しい事情を抱える案件は珍しくありませんが、今回もまた一つ特殊な事例でした。

 それでも数か月間、根気強く売却宣伝を続けた結果、ようやく「事情は理解いたしました、それでも構わない」という購入希望者様が現れました。ここからが本番でした。

 不動産の売買決済においては、所有権移転登記をお願いする時、必ず司法書士を立てなければなりません。司法書士による、売主様ご本人の意思確認と本人確認が必要になるのです。多くの司法書士は売主がこういった状況にある場合、非常に嫌がられます。私もこのケースの時、いつもお願いしている司法書士にお話したところ軒並みお断りされました。しかし、なんとかしなければならないので、探しましたところ、やる気のある若い司法書士にお受けいただけました。今回は売主様が刑務所にいるため、その司法書士と共に施設へ訪問し、直接本人確認を行いました。

 私自身、刑務所に訪問するのは初めてで、厳重なチェックを経て面会室に通されたときは緊張感がありました。ガラス越しに売主様と対面し、「本人であること」「売却の意思があること」を司法書士と共に確認。その瞬間、形式的な作業でありながら、人の人生の大切な場面に立ち会っている実感がありました。

 その後、無事に決済も完了し、購入者様へ戸建の引き渡しを終えることができました。ご相談者様も安心されたご様子で、私自身も大きな達成感を覚えました。

今回の経験を通じて強く感じたのは、和歌山市での不動産売却には実にさまざまなケースがあるということです。「住み替えのための戸建売却」「相続による土地売却」「再建築不可物件の売却相談」「任意売却」など、一つとして同じ事例はありません。だからこそ、不動産業者には柔軟な対応力と専門知識が求められます。

 当事務所では、和歌山市を中心に戸建や土地の不動産売却に幅広く対応しております。一般的な売却相談はもちろん、相続不動産や任意売却といった複雑な案件、今回のように特殊な事情を抱えたケースでも、法的手続きを踏まえて最適な方法を一緒に探してまいります。

 もし「こんな事情でも売れるのだろうか」とお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。和歌山市で不動産売却をご検討中の方にとって、安心してお任せいただけるパートナーでありたいと考えております。

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