今回は、不動産売却時における不動産売買契約の概要と売買契約書の注意点や売買契約時に気を付けたい点について説明致します。
【目次】
①不動産売買契約書について
②不動産売買契約締結までについて
③不動産売買契約時に気を付けたいこと
④不動産売買契約書の注意点
⑤よくある質問
⑥まとめ
①不動産売買契約書について
不動産売買契約書は、不動産売買契約時に取り交わされる書類をいいます。不動産の売却は高額な取引となりますので、対象となる不動産や契約解除の際の取り決めなどを明確にしなければいけません。そのために、不動産売買契約書に詳細な取り決めを記載しておく必要があるのです。
不動産売買契約書の書式は自由です。実務上、不動産業者が作成してくれます。しかし、契約当事者として契約書記載の内容についてはきちんと把握し、慎重に契約を進めるべきです。
不動産売買契約書はなぜ必要なのか
不動産売買契約書は、宅地建物取引業法37条において、「宅地建物取引業者が不動産の売買等において契約が成立した時に書面を交付しなければならない」と定められています。
また、その書面に記載する事項も定められており、不動産売買契約書の存在により売主と買主のトラブル防止に役立ちます。よって、不動産売却時におけるさまざまなリスクに対してどう対応するかを取り決めておけるので安心して取り引きを進められます。
売買契約書って誰が作成するの?
売買契約書は仲介に入っている不動産業者が作成しますのでご安心下さい。ただし、読み合わせ等行ってしっかり確認頂く必要があります。
②不動産売買契約締結までについて
不動産売買契約締結までの流れについて簡単にご説明します。
1.【媒介契約】
不動産の買主を見つけてもらうための契約で不動産業者と締結します。
2.【購入申し込み】
内見などを経て、購入希望者から不動産業者を経て購入申し込みが入ります。
3.【売買契約書と重要事項説明書の打ち合わせ】
売買契約書と重要事項説明書の内容について不動産業者と打ち合わせを行い内容を確認します。この間に、購入希望者が住宅ローンの事前審査を行う場合があります。
4.【重要事項説明】
重要事項説明は購入希望者に必要なもので、不動産売却側の売主はさらっと確認する程度でいいでしょう。
5.【契約および決済、引渡し】
重要事項説明後、売買契約を締結します。
契約締結後、決済(入金)確認、登記手続きを経て、不動産の引渡しを行います。
③不動産売買契約時に気を付けたいこと
売買契約締結後の解除申出や不動産売却した後にトラブルが生じる可能性もあります。そのような時に慌てないようにするために、不動産売買契約における注意点についてご説明します。
契約は簡単に解除できない
不動産の売買契約を締結した後は簡単に契約を解除できません。やむを得ず解除を申し入れる際には、契約の際に取り決めた「解除の条件」に基づいて違約金などが必要となります。違約金は不動産売買代金の10~20%となっていることが一般的です。
なお、買主が住宅ローンを利用する際、審査が通らなかった時は契約を白紙に戻す「ローン特約」が盛り込まれていることが普通です。また、売主が不動産業者でない時には「クーリングオフ」は適用されません。
※契約解除の種類
〇手付解除・・・相手側が契約の履行に着手する前及び契約時に取り決めた手付解除の期限までは、手付金の倍返し(売主側)および放棄(買主側)によって契約を解除することができます。
〇危険負担による解除・・・台風や洪水、地震などの天災によって取引不動産が毀損し、修復費用が多く必要となる場合には、売主は契約を解除できます。この場合、売主は買主に対して、手付金や売買代金を返還する特約をつけることが一般的です。
〇契約違反による解除・・・売主あるいは買主のいずれかが契約に違反した場合、違約金等の支払いにより契約が解除されます。たとえば相手方が契約書通りに進めなかった場合、期日を指定して催促してもなお応じてもらえなければ、契約を解除して違約金を請求することができます。
〇契約不適合責任に基づく解除・・・建物に重大な欠陥などがあった場合、その契約不適合により契約の目的が果たせない場合は買主は契約を解除できます。
〇特約による解除・・・特約の内容に応じて解除することができます。たとえば、買主が住宅ローンを受けられなかった場合に無条件で契約を解除できる「ローン特約」などがあります。
〇合意による解除・・・売主・買主の双方が合意に基づく条件で契約を解除することができます。
手付金の種類と相場を理解しよう
不動産売買契約では、契約締結時に買主から売主へ手付金を支払います。
手付金には、「証約手付(契約の締結を証明する目的として授受)」「解約手付(売買契約を解除することができる手付)」「違約手付(違約があった場合に没収できる手付)」がありますが、「解約手付」と解されることが一般的です。この場合、「売主からは手付金の倍額を返還すること」または「買主からは手付金を放棄すること」で一方の当事者だけの意思で契約解約ができます。手付金の金額についてはとくに決まりはありませんが、売買価格の10~20%が一般的です。
契約不適合責任に注意
契約不適合責任とは、売買契約において、契約内容を満たさない不都合が生じた場合に、売主が買主に対して負う責任をです。たとえば、購入した不動産に売主から聞かされていない設備の不具合、雨漏りや水漏れ、シロアリ被害などがあった場合、買主は売主に対して、補修を求めることができます。その求めに売主が応じてくれないときは、買主は代金減額や損害賠償を求めることができます。
契約不適合責任は、買主との合意がとれれば売買契約書の特約で免責とすることもできます。しかし、免責とする場合でも、後々のトラブルを避けるためにも、懸念事項を1つ1つ丁寧に挙げて、どこまで免責事項として売買契約書に特約として盛り込むのか、不動産業者と打ち合わせをしておきましょう。
④不動産売買契約書の注意点
不動産売買の契約締結後に安易な契約解除を行うのは難しくなります。そのため、契約締結前に、売買契約書の内容が「希望条件」に沿っているか、また「不明確な条件はないか」不動産業者と慎重に確認することが必要です。
そのほか、確認すべきポイントには以下のようなものがあります。ただし、各契約によっては取り決めの内容と確認するポイントは、これ以外にも生じる可能性はあります。後々のトラブル防止のためにも、小さなことでも、契約内容に盛り込むか否か、しっかりと検討しましょう。
□売買物件の表示は正しいか。
□売買代金、手付金等の額は正しいか。
□買主からの支払日はいつか。
□手付金の種類は?また金額は妥当か。
□売主は土地の実測を行うのか。また実測時の面積の増減に応じて売買代金の精算を行うのか。
□所有権の移転と引渡しの時期に無理はないか。
□引渡し前による物件の滅失・毀損時の取り扱いは明確か。
□手付解除はいつまで可能か。
□違約金の予定額は妥当か。
□契約不適合責任の期間は適切か。
□引き継ぎを行う付帯設備等は明確か。
□公租公課の精算方法と金額。
⑤よくある質問
売買契約はどこで行われますか?
売買契約は、不動産業者の事務所や現地案内所が一般的ですが、当事者のご自宅やホテルのロビー等でで行う場合もあります。また、書類を郵送などでやりとりして、対面することなく契約を行うケースもあります。
売買契約には誰が立ち会いますか?
売主と買主、そしてそれぞれを仲介した不動産業者が立ち会います。また、不動産登記の申請業務を行うため、司法書士が立ち会うこともあります。その他持ち回り契約と言って、売主と買主が別々の日に個別に契約する場合もあります。
売買契約書に必要な印紙は誰が払いますか?
原則として、売主と買主がそれぞれ負担するケースが一般的です。売買契約書は、売主と買主にそれぞれ渡すため、2通作成します。2通とも原本を作成し、2通分の印紙を売主と買主でそれぞれ負担するケースもあります。また、売買契約書の原本1通を買主に、その写しを売主に渡す場合、写しは課税文書でないため、印紙が不要となります。原本1通に必要な印紙代を売主と買主で折半することも可能です。
⑥まとめ
不動産売却は、一生に何度も経験する人は少ないでしょう。だからこそ、トラブルなく売買契約を進めるためには、信頼できるパートナーを選ぶことが重要になります。うえくぼ不動産事務所は過去の豊富な取引実績から、あなたの最良のパートナーとして取引を行うことができる数少ない不動産業者です。不動産売却のお悩み等ございましたら、ぜひ一度ご連絡頂けますと幸いです。
ご連絡心よりお待ちしております。