農地を売りたい場合

当事務所では農地を相続したものの活用しないので売りたいという相談が増えています。 農地の売却はややこしく、農地を売りたいと思っても農地法によって売買の制限があるために売ることが難しい場合が多いです。 農地法とは、国内の農地を守るための法律であり、農地から宅地にする等の転用や第三者への権利移動 を規制しています。 また、 農地を売るにあたって原則として農業委員会の許可を得なければいけません。 また農地転用をして所有権を第三者に移転する場合には、都道府県知事等の許可が必要になります。

【目次】
①農地を売るには許可が必要です

②現況が宅地になっている場合

③地目を変更する

④市街化区域内の農地の転用

⑤農地を相続した場合

⑥農地を売りたい時の具体的な方法

①農地を売るには許可が必要です
農地法では農地の権利移動や農地転用には制限がもうけられています。 但し、相続や遺産分割による財産分与等では農業委員会の許可は必要としません。 原則として、農地の売買では都道府県知事等の許可が必要になるため、許可を得ていない売買は無効と なります。 家を建てる目的で農地を売買する場合には、売買契約をする前に宅地にできるかどうか転用許可の見通しを確認しておくことが必要です。 もしくは許可を条件とする条件付売買契約を交わしてから、農地転用許可の申請を行います。

②現況が宅地になっている場合
農地法の農地は、土地登記簿の地目に関係なく現状で判断されるのが原則となります。 地目が畑のままになっているが、見た目が宅地になっていることがあります。 過去に市町村長の許可を得て転用したが地目変更登記をしていなかったとも考えられます。 土地の利用状況に変更があった場合には地目変更登記を行わなければいけませんが、地目変更がされていないケースも多いのです。 現況が宅地である場合には、農業委員会で農地転用届出受理済証明または非農地証明の交付を受けて、 宅地に地目変更をすることが可能です。

③地目を変更する
登記地目(畑や田)と現況の地目(宅地)が一致しない場合には、農地から宅地に地目変更することができます。 地目変更を行う場合には、現況の状態が重視されます。ただし、 土地の売却を検討してる場合には、すぐに地目変更をせずにまず不動産業者に相談しましょう。

④市街化区域内の農地の転用
市街化区域内にある農地の転用は、許可は要せず、農業委員会への届出となります。 農地転用のみを目的とする場合には、農地法第4条第1項第7号による届出が必要となります。 農地転用で権利移転(所有権移転)や賃借が行われる場合には、農地法第5条第1項第6号による届出が必要となります。 市町村の農業委員会によって必要書類が異なります。 但し、市街化区域内であっても、生産緑地の指定を受けている農地はこのケースに当てはまりません。 生産緑地地区内における行為制限の解除がされない限りは、生産緑地の指定を受けている農地は転用することが出来ません。

⑤農地を相続した場合
農地を相続する場合には農業委員会の許可は要しません。 相続人が多い場合には、細分化を防止するためにも耕作者となる代表者を一人決めて単独相続とすることです。 廃止された旧農業基本法第16条でも、「国は自立経営たる又はこれになろうとする家族農業経営等が 細分化することを防止するため、遺産の相続にあたって従前の農業経営をなるべく共同相続人の一人が 引き継いで担当することができるように必要な施策を講ずるものとする。」 と定めていました。 農地を細分化することで農業経営が成り立たなくなってしまうと考えられるからです。 相続人同士が揉めないように遺産分割をうまく行うには、現物分割や代償分割といった方法がありま す。

⑥農地を売りたい時の具体的な方法
農地を売りたい場合、農用地区の農地(青地農地)であれば、各都道府県にある農業公社(農地中間管理機構)にて農地の賃貸借・売買・整備や事業などのサポートを行っています。 農業公社や市町村の農業委員会または農政課に相談をしてみることです。 白地農地や市街化区域内の農地であれば、農業委員会のあっせんは対象外となります。 また、市街化区域内の農地や農地転用できる土地であれば、当事務所にお気軽にご相談下さい。